ものづくりのお仕事

海の水から何ができるの?

取材協力/
協和化学工業株式会社

海の水から何ができるの?

海水からの自然の恵みといえば塩と思い浮かべる人が多いと思いますが、海水中に含まれるマグネシウム成分を取り出すことで、化学工業分野や医薬品など、社会や人々の身近なところで活用されています。ではどんなところに使われているのでしょうか?

答え:
海水を原料として、さまざまなマグネシウム化合物を生産しているんだよ。

酸化マグネシウムはどうやって作られているの?

海の水からできるもの
化学プラントと沈殿濃縮設備のあるシックナー

化学プラントと沈殿濃縮設備のあるシックナー

太陽の光には、赤・オレンジ・黄・緑・水・青、紫の7色の光が含まれています。沈殿濃縮装置のシックナーが青色に見えるのは、光がシックナー内の海水にあたると、青い光だけは吸収されずに、シックナーの深くまで進んでいきます。水中まで進んだ青い光は、シックナー底の水酸化マグネシウムに反射して水面まで上がってくるので青く見えるのです。

マグネシウム化合物は、社会や生活の身近にあるんだよ

自動車のワイパーゴム/樹脂製の窓わく/繊維強化プラスチックの浴槽/胃腸薬
マグネシウム化合物は、自動車のワイパーゴムや樹脂の窓わく、繊維強化プラスチックの浴槽など、みんなが暮らす生活の身近なところだけでなく、ドラッグストアで見かける便秘薬や胃薬に含まれる胃酸の分泌を抑える中和剤として使われています。協和化学工業では、さらに世界シェア6割を占める合成ハイドロタルサイトや炭酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物も作っています。

瀬戸内の気候風土を利用 ~水酸化マグネシウム製造方法の変遷~

香川県は温かく穏やかな日が多く、太陽が照らす時間が長いのが特徴。瀬戸内海沿岸では、潮の満ち引きによる海面の差を利用した塩田法により、古くから塩づくりが盛んに行われてきました。協和化学工業では、塩づくりをする際に副産物として得られる「にがり」を原料として、水酸化マグネシウムを製造していました。しかし、1972(昭和47)年に、これまでの塩田法からイオン交換膜を使った膜濃縮製塩法に転換されたことで、副産物である「にがり」の生産が大幅に減少し必要量を確保できなくなりました。そのため現在では、海水から直接、水酸化マグネシウムを製造する海水法に製法が変更されています。

瀬戸内の気候風土を利用 ~水酸化マグネシウム製造方法の変遷~

協和化学工業株式会社

研究開発部 試作開発課 リーダー 
藤澤 誠司さん

私は高校卒業後、協和化学工業に入社し、5年間製造現場で物づくりを学び、その後、19年間製造技術課という部署で、製品の製造管理・品質管理を行ってきました。現在は、3月に研究開発部に新設された試作開発課で、開発品の製品化を検討しています。これまでの経験を活かせる部署であり、若い人たちに、これまでに得た知識を教えながら、私自身も新しい知識を教えてもらいたいと考えています。

香川県坂出市林田町4035
tel.0877-47-0011

協和化学工業株式会社 研究開発部 試作開発課 リーダー 藤澤 誠司さん

取材協力/協和化学工業株式会社
香川・坂出市の巨大化学プラントで世界の「ものづくり」を支えるお父さん

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