ものづくりのお仕事

「さぬきうどん」はどうやって作られているの?

取材協力/
さぬき麺業株式会社

「さぬきうどん」はどうやって作られているの?

みんなは、学校の行事や自宅などで、うどん作りを体験したことあるかな?
うどんの麺づくりは、非常に難しいため、熟練の技とセンスを磨かなければ上手に麺を作れません。
ではどうすれば、おいしいうどんが作れるのでしょう。うどん職人に話を聞きました。

答え:
さぬきうどんは、小麦粉、塩、水さえあれば作ることができるシンプルな食べ物です。

「さぬきうどん」ができるまで
(一例)

材料/10人分

小麦粉(中力粉)…1㎏、塩…40g、水…460cc
※家庭で作る時は、うどんの材料、まな板、ボウル、包丁などを用意してください。

  • 加水

    ①加水

    塩水を作り小麦粉とすばやく混ぜ合わせます。塩水を加えることで、グルテンを引き締め、弾力のある麺が生まれます。※塩水の量は粉の半分が適量で、濃度は季節によって変えます。

    グルテンとは?
    小麦に含まれるたんぱく質のこと。もちもちとした食感と弾力のもととなっているものだよ。

  • 小麦粉と塩水を混ぜる

    ②小麦粉と塩水を混ぜる

    両手を大きく広げて、粉全体をやさしくかき上げながら、素早く混ぜ合わせます。しだいに粉全体がそぼろ状になり、小麦粉の色が白から淡黄に変わればOK。生地と指先が対話するイメージで!

  • 成型

    ③成型

    こね鉢に散らばった、そぼろ状の小さな固まりを集めながら、できるだけきれいに形を整えます。

  • 足踏み

    ④足踏み

    生地をロール巻か三つ折りにして踏むことを3~4回繰り返します。足の動きは、かかとからつま先へと交互に重心を移動させながら踏むことがポイント。

  • 生地を丸める

    ⑤生地を丸める

    生地を熟成させる前に、生地のふちを中に巻き込むようにしながら、両手を使って丸くまとめていきます。その後、温度変化の少ない場所で寝かせます。

  • 延ばす

    ⑥延ばす

    寝かした生地を麺棒に巻き、延ばしていきます。生地を回転させながら、均等の厚さにするのがポイント!8回くらい同じ作業を繰り返します。

  • 切る

    ⑦切る

    延ばした生地に十分に打粉をします。生地を富士山のように下を広く上へ行くほど狭くなるように3〜4段に折りたたみ、包丁で3㎜くらいの間隔で切っていきます。

  • 茹でる

    ⑧茹でる

    一定の温度(麺が泳ぐくらい)で茹で上げます。目安は約16分。ただし「ざるうどん」の場合は茹で過ぎに注意。※茹で時間は麺の状態や気温などで異なります。

  • 水で洗う

    ⑨水で洗う

    茹で上がったうどんを冷水で冷やし、麺の表面上についたぬめりをしっかり取ります。

  • 完成

    ⑩完成

    1玉の分量は、3本指に収まる程度です。コシと弾力のあるうどんが完成です!

基本を踏まえて、手早くリズミカルに打てば、誰もがおいしいうどんが作れます。家庭でも気軽にお店に負けないうどんを作ってみましょう。

温暖な気候風土と歴史が育んだこだわりのうどん

さぬきうどんが、香川県の生活に根ざしたのは、日照時間が長く、雨が少ないという気候風土が、小麦の栽培に適していたからです。また、古くから塩やしょうゆの生産も盛んで、だしに使ういりこの漁獲量も多いという環境にも恵まれてきたことが、うどんの食文化を生み出しました。

つゆ、麺

つゆ

だし

瀬戸内でとれた良質ないりこ(煮干し)
観音寺市沖にある伊吹島では、夏場になると上質な「伊吹いりこ」(カタクチイワシ)が、年間におよそ2000tもとれ、これを使って独特のうま味と香りのあるだしを作り出します。加えて、昆布やかつお節などもだしとして使用されています。

しょうゆ

小豆島をはじめ、地元で作られるしょうゆ
瀬戸内海の温暖な気候のもとで醸造されるしょうゆは、全国的にも品質の高いことで知られています。ざるうどん、しょうゆうどん、釜揚げといったバラエティーに富んだうどんの食べ方に合わせて、しょうゆの濃さを変えて味を楽しむことができます。

小麦粉

温暖少雨な気候風土が生んだ独自の小麦
つるつるとした喉ごし、噛むと押し返すような弾力を生む麺の原料が小麦。1992(平成4)年に、県の農業試験場が、外国産に勝るとも劣らない国産小麦の新品種「さぬきの夢2000」を開発。現在は「さぬきの夢」として、国産小麦の中ではトップクラスの評価を受けています。

うどん打ちには欠かせない塩
塩の役割は、うどんのうま味を引き立てるだけでなく、小麦に含まれるグルテンを引き締め、発酵や腐敗を防ぎます。さらに天然塩は、海水に含まれるマグネシウムやカリウムなどがうま味成分を引き出しています。

うどんの生産量、消費量、事業所数が全国1位

うどんをこよなく愛するばかりに「うどん県」とも呼ばれる香川県。今やその知名度は全国に広まり、うどん県で年賀状が届くほど。そば・うどん店の人口1万人当たりの事業所数や、一人当たりのうどんの消費量、うどんの生産量など、いずれをとっても全国1位です。ここまでになったのは、諸説ありますが、さぬきの偉人・弘法大師が唐の国で学んだ麺の作り方を甥の智泉大徳に伝えて、さぬきで広まり、今も大切に育んできたためなのかもしれません。最近ではうどんの種類や食べ方も多様化。年の初め(1月1日~15日)に食べる「年明けうどん」は、その年の幸せを願うもので、紅いあん餅を乗せたうどんや、金時人参をトッピングしたうどんなど紅の食材で食卓を彩ります。

うどんの生産量、消費量、事業所数が全国1位

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さぬき麺業株式会社

社長室室長 
大久保 篤志さん

おいしいうどんを作るためには、何回も何回も熟練すること。真心を込めて作ること。うどんを好きになること。これが大事です。私たちの仕事は、毎日の湿度や気温に合わせて調整し、うどんを作ることです。出来立てのうどんを食べていただき「おいしい」と言ってくださることが手打ち職人としての醍醐味です。昔は家庭でうどんを作ることは当たり前だったそうです。家族みんなで作ったうどんを、太い・細いと言いながら食べる。そんな光景が少なくなってきました。だからこそ、先人達が育んできたうどん文化を子どもたちに伝えていきたいと思います。

香川県高松市松並町933-1
tel.087-867-7893

さぬき麺業株式会社 社長室室長 大久保 篤志さん

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さぬき麺業株式会社

さぬき麺業株式会社

労を惜しまず、おいしいうどんを追求するさぬき麺業。工場見学では、うどん作りの製麺工程をガラス越しに見学できるほか、さぬきうどんの歴史や製造工程を展示パネルやビデオ映像で紹介。奥深いうどんの魅力を再発見しに行きましょう。

◆開催場所/さぬき麺業第二工場※受付は本社事務所
◆対象年齢/6歳以上
◆定員/100人 ※見学は団体のみ。定員を超える場合は要相談
◆開催日時/通年※土曜、日曜、祝日は工場が稼働していないため、見学は機械の説明
◆料金/工場見学は無料 
◆予約/2日前まで ※完全予約制

申し込み
tel. 087-867-7893

担当:体験見学
高松市松並町933-1